過去の地震を振り返ると、ひとつの自然現象が複数の被害をもたらすことが分かります。
地震といえばグラグラと揺れると言ったイメージがありますが、建物火災が発生したり、海辺では津波が、山際では土砂崩れが起きます。
また、原発があれば放射線漏れの危険性や、避難所生活では感染症の恐れもあります。
過去の巨大地震は、一度に複数の災害をもたらしました。
今一度、過去の大地震を振り返り、現在の私たちはどのような心構えをしておけばよいか考えてみましょう。
近年の大きな地震
近年の震度7を示す大きな地震は次の通りです。
地震の強さの最大級が震度7で、それ以上の表示はありません。
1995年1月17日 阪神淡路大震災 最大震度7
2004年10月23日 新潟県中越地震 最大震度7
2911年3月11日 東日本大震災 最大震度7
2016年4月16日 熊本地震 最大震度7
2018年9月6日 北海道胆振東部地震 最大震度7
気象庁は震度7について、「立っていることができず、何かにつかまっていないと動くこともできない。揺れにほんろうされ、飛ばされることもある。」と表現しています。
多くの死者が出た阪神淡路大震災では、神戸市を中心に大規模な火災が発生しました。
また、道路が通れなくなるなどの交通障害がありました。
記憶に新しい東日本大震災では、津波被害のほか原子力事故がおこりました。
活断層は全国で、活動度の高いA級が約100、B級が約800、C級が約400発見されており、全国どこにでも震度7クラスの地震が起こる危険性があります。
阪神淡路大震災に学ぶ
住宅の耐震性について
同じ神戸市でも倒壊を免れた家は、耐震性のある家でした。
1995年1月17日 阪神淡路大震災での死者の8割が、建物倒壊による圧死でしたが、そのほとんどの住宅が1981年以前の建物でした。
阪神淡路大震災でクローズアップされた耐震性の問題は、その後大きな地震が起こるたびに改正されました。
1981年6月から導入された耐震基準で建てられた家なら、震度6強の大地震でも即座に倒壊する可能性は低いとされています。
その後、2000 年の6月には建築基準法が再改正され、さらに強度が増しました。
自宅が1981年5月以前に 建てられたものなら、耐震チェックを受け、建て替えの検討も考えてみましょう。
建築年月日と耐震について
1981年5月以前 大規模地震で倒壊の恐れがあります。
1981年6月~2000年5月 大規模地震で損傷する恐れがあります。
2000年6月以降 大規模地震の後も住むことができます。
阪神淡路大震災の火災から学ぶ
通電火災が多く、数日間出火が継続しました。
通電火災とは、大規模な地震などに伴う停電が復旧し、通電が再開される際に発生する火災のことです。
阪神淡路大震災では原因が特定できた55件のうち35件が電気火災と最も多く、そのうち33件が通電火災でした。
通電火災は、住人が避難したあと、出火します。
そのため、初期消火が遅れて火災が拡大してしまうのです。
この火災を防ぐには「避難する前にブレーカーを落とす」だけです。
現代ではほとんどの住宅は自動的にブレーカーが落ちるようになっていますが、念のため確認しておくようにしましょう。
東日本大震災に学ぶ
東日本大震災では、海岸部を中心に大きな被害が出ました。
津波による被害を教訓に、住宅地を災害リスクの低い高台に集団移転し、沿岸部は緑地化するなど大規模な開発が進められている地域もあります。
また、長期間にわたる停電の経験から、太陽光発電設備、蓄電池などの整備が進められてている自治体もあります。
東日本大震災では、たくさんの子どもが犠牲になりましたが、過去に津波が頻繁におこっている地域は、高台にある学校も、さらに盛り土をした避難場所を作るケースもあるようです。
官民ともに協力して未来ある子供を津波の被害から守る取り組みが進められています。
いざという時の備え
防災用品を、あれもこれもと揃えていくと備蓄しておくスペースも必要で、日常生活の邪魔になることもあります。
災害対策は、住んでいる場所や家族構成によって違ってきます。
例えば、津波は恐怖ですが、川からも海からも遠い地域に住んでいる場合は津波対策の心配はありません。
逆に家の裏に山や崖がある場合は、土砂崩れに備える必要があります。
まずは、いざ避難する場合に備えて自分や家族にとってなくてはならないものだけを普段
からリストアップしてすぐに避難できるようにしましょう。
どんなに優れもののグッズも、いざという時に役に立たなければ意味がありません。
また、たくさんの食料を備蓄しても大きな災害では、役に立たないこともあります。
備蓄とはため込むことではありません。
まとめ
地震は予告なしで起きます。
直下地震では、地震発生直後に伝えられる緊急地震速報も間に合わないことがあります。不意打ちともいえる災害から命や住宅を守るには、個々の事前の災害予防と地域の防災訓練などで災害に対応する力をつけておく必要があります。
そのためには過去の地震を振り返り、耐震対策や火災に対する知識、住宅購入などに対する土地選びなどに役立てましょう。